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電力業界社員が不定期に情報発信

原子力と再生可能エネルギーの抱える問題を自分の頭で考えること

 沖縄電力とJ-Powerを除くすべての大手電力会社では、原子力発電所を所有しています。電力のことをよく知らない人から見れば、「原子力ってなんか怖い」「福島と同じことが起きないの?」とか「原子力発電所が事故を起こしたら会社が潰れるんじゃないの?」とネガティブなイメージが強いと思います。
 就活生にとっても、電力会社には興味あるけど原子力発電所には行きたくないと考えている方も多いのではないでしょうか。原子力が電力会社の運命を左右するのは明白で、実際福島事故後、原子力が長期停止になったときは給料カット、ボーナス半減になりました。
 社内では、原子力部門は再稼働に向けて、展望の見えない長時間労働を強いられ辞めていく人もたくさんいましたし、原子力以外の部門では、コストカットで大型設備更新を延期したり、定期点検を延期したり等の大変な負担を強いられていました。
 テレビや、ネットでは、原子力に対する否定的な意見が多く、左翼団体を中心にネガティブキャンペーンを実施しています。よく見られる主張は
  
  ・安全に絶対はないからやめるべき。
  ・放射性廃棄物の処理コストが高いからやめるべき。
  ・最終処分場が決まっていないのでやめるべき。
  ・再生可能エネルギーに転換すべき。
  ・原発利権は絶対に許せない
  ・電気は足りているから不要
  ・原発は海水温を上げているから環境に悪い
 逆に、賛成派の主張は
  ・地球温暖化が問題になっている中、二酸化炭素を出さない原発は必要
  ・再生可能エネルギーには限界があり、すべての需要を賄うことはできない。
  ・資源がない日本にとって、燃料のベストミックスは大事
  ・原発の電気代は安い
 それぞれの主張について、私の見解を書いていこうと思います。
  ・安全に絶対はないからやめるべき。
   確かに安全に絶対はありません。しかし、世の中には原発以外にも、交通事故や水難事故、
   生活環境によるガン等さまざまなリスクがあり、リスクを許容しながら生きています。
   原発事故で死ぬ確率と、交通事故で死ぬ確率、大気汚染でがんになる確率どれが一番高い
   でしょうか?原発だけが安全じゃないからやめるべきと主張するなら、身近な死のリスク
   を0になるよう行政に訴えかける方が先ではないでしょうか。
  放射性廃棄物の処理コストが高いからやめるべき
   放射性廃棄物の処理コストが高いのはその通りです。だからこそ、原発を稼働させて会社
   が利益を出して将来かかるであろう放射性廃棄物の処理費用の積み立てが必要です。
   新規原発の建設を反対する理由にはなりますが、既存の原発をやめる理由にはなりません。
  ・最終処分場が決まっていないのでやめるべき。
   その通りですが、上記と同じく、新規原発の建設を反対する理由にはなりますが、既存の
   原発をやめる理由にはなりません。
  再生可能エネルギーに転換すべき。
   再生可能エネルギーは建設費用の割に発電量が少ないため、高コストにならざるをえませ
   ん。現に再生可能エネルギー発電促進賦課金が電気代に上乗せして払っているとおり、コ
   ストが高いのです。
   太陽光や風力は発電量が少ないため、大きな電力を得るには広大な土地が必要であり、森
   林伐採や生態系への影響などが危惧されています。
   
   また、現在の賦課金の仕組みは金持ちが太陽光発電所に投資して、消費税と同じように貧
   乏人からも富裕層からも同じ料金を徴収する仕組みが本当に良いと言えるでしょうか?
  ・原発利権は許せない
   世の中に、利権が絡まないものはありません。反対派に協力する弁護士だって利権がから
   んでいるし、旧財閥系企業と国が癒着しているなんてのは今に始まった話ではありません。
   地元に高速道路ができたり、新幹線が開業したりするのは、利権がからんでいるからとい
   う理由で反対ですか?多くの住民が恩恵をうけることで、多くの方は賛成のはずです。
   原発利権がからんでいようが、原発のおかげて、労働者が集まり、町が潤ったり、求人が
   増えたりすることは悪いことでしょうか?むしろ、低所得者層の恩恵となっているのでは
   ないでしょうか。
  ・電気は足りているから不要
   確かに、火力発電、水力発電で電力は足りています。でもそれは火力発電所の定期点検を
   延期したりすることで需要が供給を超えないように調整しています。また火力発電所だけ
   に頼ったとして、地球温暖化と異常気象による天災による死亡は許容するのでしょうか?
  原発は海水温を上げているから環境に悪い
   確かに復水器に海水を流し、蒸気と熱交換することで、放出する海水温は高いです。でも
   それは火力発電所も同じ仕組みであり、原発だけを否定する理由にはなりません。
  では、賛成派の主張について
  ・地球温暖化が問題になっている中、二酸化炭素を出さない原発は必要
   確かにその通りですが、世界が同時に二酸化炭素排出抑制をしてこそ意味があると思いま
   す。日本だけが頑張っても意味がないと思います。
  ・再生可能エネルギーには限界があり、すべての需要を賄うことはできない。
   その通りです。上述しましたが、太陽光や風力は発電量が少ないため、大きな電力を得る
   には広大な土地が必要であり、森林伐採や生態系への影響などが危惧されています。
  ・資源がない日本にとって、燃料のベストミックスは大事
   過去に中国のレアメタル輸出規制があったように、日本のエネルギー原料のほとんどが、
   輸入した石油、ガス、石炭であることを考慮すると、どの原料が輸入制限されても、別の
   原料で発電できるよう構築しておくことは重要だと思います。
  ・原発の電気代は安い
   実はそうでもなくなってきています。理由は、国から膨大に課せられた安全対策工事が原
   発の発電単価を押し上げています。現在では石炭火力と同等レベルまでになっています。   
 左翼団体は社会主義で労働者や貧乏人の見方のはずなのに、原発をなくして労働者が職を失い、貧困が増えることについてどう思っているのか、再生可能エネルギー発電賦課金が富裕層を優遇するだけの政策なのになぜこれに反対運動をしないのか疑問でしょうがありません。結局、左翼団体の目的は反資本主義であり、反体制運動が目的なのであって、弱者のことなんてこれっぽっちも考えていないんだということが分かります。
 私が言いたいのは、反対意見、賛成意見ともに、客観的に内容を分析して何が正しいのが自分の頭で考えることが大事だということです。私は、高校生まで打倒自民党!的な考えでしたが、大学に入って、サークル活動でサークル統括本部から反戦集会や反戦活動に参加させられる機会があって、なぜこの人たちは自衛隊の派兵やアメリカの戦争には反対するのに、中国の軍事力強化や周辺国への侵略、民族浄化には何も言わないのだろうかというところから、左翼団体の主張の在り方に疑問を持ち始めました。また、言論の自由!民主主義!と叫びながら、反対意見を排除しようとする姿勢を見て、絶対左翼団体に近づいちゃだめだと思いました。
 原発の話に戻りますが
 最近は、福島のような事故が起きない新型の原子炉について国内への導入の研究が始まっていると聞きました。
 こちらのサイトを参考にされると良いかもしれません。
 核アレルギーの日本に新型の原子炉が導入されるのかどうか、未来は誰にも予測できません。